吉本TOBについて(株主のみなさまへ)

 

吉本興業株主の皆様へ

10月30日
吉本興業のTOBが成立いたしました。

応募株数は発行株式数の88.52%とのことです。
個人株主は全体の約41%ですから、{88.52―(100―41)}/41=0.72
ですから個人株主が持つ株数の約72%が応募したことになります。
これについての感想はブログでのべますが、応募されていない株主さまにとってはこれからなにが起こるのか不安な方がおられると思います。
これについては、吉本興業が発表した「クオンタム・エンターテイメント株式会社による当社普通株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」
http://www.yoshimoto.co.jp/src/about/ir_pdf/press_fin.pdfに書かれておりますのでご参照ください。皆様のお手許にも届いているかと思います。
届いている冊子でいうと10頁の23行~11頁の23行にかけて書かれております。
抜粋しますと、
「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
当社は、公開買付者らより、本公開買付け後の組織再編等の方針につき、以下の説明を受けております。
本公開買付けが成立した場合、公開買付者は、所有割合の70%以上の株式を取得することになりますが、本公開買付けで当社の自己株式を除いた全株式を取得できなかった場合には、公開買付者は、上記(2)「② 本公開買付けの概要等」に記載のとおり、当社を公開買付者の完全子会社とする方針であり、本公開買付け終了後に、本取引の一環として、当社を公開買付者の完全子会社化するための方法を実施する予定です。
具体的には、本公開買付けが成立した後に、公開買付者は、①当社において普通株式とは別の種類の株式を発行できる旨の定款変更を行うことにより、当社を会社法(平成17 年法律第86 号。その後の改正を含みます。以下同じ。)の規定する種類株式発行会社とすること、②当社の発行する全ての普通株式に全部取得条項(会社法第108 条第1項第7号に規定する事項についての定めをいいます。以下同じ。)を付す旨の定款変更を行うこと、及び③当社の当該株式の全部(自己株式を除きます。)の取得と引き換えに別個の種類の当社株式を交付することのそれぞれを付議議案に含む当社の株主総会の開催を当社に要請する予定です。
また、上記株主総会にて上記①のご承認をいただきますと、当社は会社法の規定する種類株式発行会社となりますが、上記②については、会社法第111 条第2項第1号に基づき、上記株主総会の決議に加えて、株式の内容として全部取得条項が付される当社の普通株式を保有する株主の皆様を構成員とする種類株主総会の決議が必要となるため、公開買付者は、当社に対し、上記②の定款一部変更を付議議案に含む当社の普通株主による種類株主総会の開催を要請する予定です。
本公開買付けが成立した場合、公開買付者は、当社の自己株式を除いた発行済株式総数の70%以上の株式を取得することになる予定であり、上記の各手続を採用することが決定された場合、公開買付者は、上記の株主総会及び種類株主総会において上記各議案に賛成する予定です。
上記の各手続が実行された場合には、当社の発行する全ての普通株式は全部取得条項が付された上で、その全て(自己株式を除きます。)が当社に取得されることとなり、当社の株主には当該取得の対価として当社の別個の種類の株式が交付されることになりますが、当社の株主のうち交付されるべき当該別個の種類の当社株式の数が1株に満たない端数となる株主に対しては、会社法第234 条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に端数がある場合には当該端数は切り捨てられます。)に相当する当該別個の種類の当社株式を売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。なお、当該端数の合計数に相当する当該別個の種類の当社株式の売却価格については、当該売却の結果、各株主に交付されることになる金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が保有していた当社の普通株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。また、全部取得条項が付された当社の普通株式の取得の対価として交付する当社株式の種類及び数は、本報告書提出日現在未定でありますが、公開買付者が当社の自己株式を除く発行済株式の全てを保有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主に対し交付しなければならない当社株式の数が1株に満たない端数となるよう決定することを要請する予定であります。なお、公開買付者は、原則として、平成22 年6月30 日を目処に、当社を公開買付者の完全子会社とするための施策を完了させることを予定しております。
上記各手続に関連する少数株主の権利保護を目的としたと考えられる会社法上の規定としては、(a)上記②の普通株式に全部取得条項を付す旨の定款変更を行うに際しては、会社法第116 条及び第117 条その他の関係法令の定めに従って、株主はその有する株式の買取請求を行うことができる旨が定められており、また、(b)上記③の全部取得条項が付された株式の全部取得が株主総会において決議された場合には、会社法第172 条その他の関係法令の定めに従って、株主は当該株式の取得の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。
公開買付者は、上記の各手続の実行後に、本件合併を行うことを予定しております。
なお、本公開買付けは、上記株主総会における当社の株主の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、上記方法については、関係法令についての当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の株券等所有割合又は公開買付者以外の当社株主の当社の株式の所有状況その他の状況等によっては、それと同等の効果を有する他の方法を実施し、また実施に時間を要する可能性があります。ただし、その場合でも、公開買付者以外の当社の株主に対しては、最終的に金銭を交付する方法により、当社を完全子会社化することを予定しており、この場合に当該当社の株主に交付される金銭の額についても、本公開買付価格に当該各株主が保有していた当社の普通株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定です。」
 


少し難解なので解説してみます。
まず、クオンタム・エンターテイメント株式会社の100%子会社にする予定である。
TOBで100%集まらない場合は、
     臨時株主総会を開き普通株式と別の種類の株式を発行できるように定款変更を行う。
(定款を変更するのに必要な議決数が2/3 つまり66.6%。これが今回の下限70%の意味です。)
その後普通株式を持つ株主の総会を開き
     全ての株式に全部取得条項をつける定款変更をする。
     そしてそして全部取得条項がついた株式を会社は取得するかわりに対価として別種の種類の株式を交付する。
ただしその際、1株に満たない株主には金銭を交付する。
そして全ての株主が1株に満たなくなるように発行する株式の種類、数を決定する。
なお代わりに交付する売却価格については、株主が以前保有していた数に公開価格を乗じたものになるよう計算する予定である。
 
と管理人は理解してますが、間違っていたらご指摘ください。
 
まだわかりにくいのでさらに解説してみます。
株主が持ってる株式を別の種類の株式に交換するよう株主総会できめますよ。
2/3押さえたから定款変更できますよ。
別の種類というのは例えば1株10億円にしますよ。
ですから1000株持っている人は今500円額面ですから、0.000005株を割り当てます。
そんな株数は発行できませんから代わりにお金を払います。
それは持っていた株数に1350円乗じた額にする予定です。
 
もう少しだけ簡単にいうと
TOBに応じなかった人も株券は無効にします。その代わり1350円×株数を渡します。
 
さらに簡単にいうと「1350円で強制買取する予定です」という意味です。
 
ですからTOBに応じなかった方も紙切れになるわけではありません。
ただ強制的に排除されるだけです。
(本来なら吉本興業がここまでわかりやすく説明するべきだと思うのですが)
 
なお私たちが提訴したのは上記の①と②の定款変更の議案の付議の差し止めです。
つまり自分が株主である権利を強制的に剥奪されるのはおかしいという訴訟です。

 

吉本興業 株主のみなさまへ
 
 
さて、この度「クオンタム・エンターテイメント㈱」が、突然、吉本興業に対しTOB宣言を致しましたが、
その買取価格1,350円はあまりにも安すぎます。
プレミアムは一株あたり純資産1,226円(解散価値)に対して僅か124円、率にして10%にすぎません。
この価格では、お笑いの独占企業「よしもと」のブランド力を、まったく評価しておりません。
ブランド力は「のれん代」という科目で会計上処理されるのですが、これはつまり純資産(解散価値)と買取価格の差額、
つまり今回で言えばプレミアムの124円がのれん代(ブランド代)であります。
124円に発行済み株式数をかけたもの、つまり48億3千6百万円が吉本興業という会社のブランド代となります。
ではこの48億が高いのか安いのか?
 
2007年に吉本興業は「ファンダンゴ」という会社を子会社にしました。このとき計上された「のれん代」は46億3千8百万円になります。
一子会社にすぎない「ファンダンゴ」のブランド代が46億、これが適正ならば世界に例をみない800人のプロ集団(芸人)を抱える
吉本興業のブランド代が僅か48億円というのはどう考えても安すぎます。
なにを基準にこのような過小評価を下したのでしょうか?
この価格では「ファンダンゴ」以外の吉本興業ののれん代は、僅かに2億円という計算になります。
(また逆に「ファンダンゴ」のブランド代を高く買いすぎたとすれば「株主代表訴訟」の対象のもなります。)
さらには「クオンタム・エンターテイメント㈱」代表の出井伸之氏は記者会見の席上、明確に「このTOBの目的は株主価値を上げること!」
と発言しております。
つまりは善良な個人株主からTOBの名の下に、体よく半強制的に吉本興業を安く引き取り、数年後には再度上場し
多額の売却益を目的としているのは明らかであります。
しかも、大手銀行を始めとした、既存の大株主は、いずれもTOB成立後の「新吉本」に対しても株主として新株式を割り当てられることが我々の知らぬ間に当初より決定されているのです。
また、TOBにかかる費用の内、銀行から融資を受ける300億円はTOB後、「新吉本」の借金となります。
借金は少ない方が良い。つまり出井氏のみならず、既存の大株主にもTOB価格を安く抑えたいと望む理由が十分あります。
再上場がなったとして、そのとき恩恵に預かれるのは一部の既存大株主のみ、我々個人株主は安値で放り出された後になります。
業績の良いときも悪いときも悪評がたったときでさえも真に吉本興業を愛し育ててきたのは我々個人株主ではないでしょうか?
株主優待や僅かの配当を楽しみに今日まで吉本を育ててきた個人株主をバカにしたこんな暴挙が許されてもいいのでしょうか?
我々、無力の一般個人株主はこの無謀なTOBに対しどのように対処したらいいのでしょうか?
最後の意地を見せる方法が一つだけあります。それはTOBに賛成しないこと。つまり応じないことです。
多数の個人株主が「無視」することによりTOBが不成立となれば、彼らはTOB価格をさらに引き上げてくるやもしれません。
それだけ吉本興業は魅力ある企業なのです。のれん代がたったの2億円という会社では絶対ありません。
またTOBを「無視」したとしても決して株券が紙切れになるわけではありません。
TOBが成立したとすれば1,350円で強制的に買い取られるのですから。
ただし、もし不成立となった場合は株価が下がる場合も十分考えられます。
しかし、もしTOBの話などなくたまたま株価が1,350円に上昇していたとして、その価格で売却していたでしょうか?
もし売却する考えがなかったとしたならば同じことだといえないでしょうか?
TOBが不成立になったとしても、次回、株主総会では堂々と増配を主張できます。
なにしろ300億円の返済ができるだけのキャッシュフローがある会社なのですから。
 
再度言いますが、吉本興業のTOB価格は安すぎます。
ここは、安易にTOBに応じないことで「この価格は安すぎる!!」との意思表示をしてみては如何でしょうか?
 
 
参考までにサンスターの例ですがTOB価格650円に対して一部株主より安すぎるとの訴えが起こされ、
先月9月28日に株主の勝訴が確定しました。その結果最終的な買取価格が650円から840円となりました。
もっともこの価格は裁判に参加した株主にしか適用されませんが、TOB価格が必ずしも適正なものとは限らないという例です。
 
なお投資にかかわる事でありますから、
ご自身の判断でお願いいたします。
決して強制するつもりはありません。
ただリスクを承知で
「納得できないことは納得できない」
と思われたなら、ご一考くだされば幸いです。
 
 
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