管理人の考え


管理人の考え

私、以前証券会社に勤務しておりました。
自分で株式を売買することもなく、転職してからはまったく市場に興味を持たない生活を続けておりました。
ただ大阪生まれの大阪育ちゆえ、吉本興業には幼少より親しんでまいりました。
さて、私が吉本興業に疑問を持つようになったのは、週刊新潮のファンダンゴに関する記事からです。
なんと上場後1年8ヶ月で上場を廃止するという。
決算書を見る限り市場で集めた現金が急激に減少しているとのこと。
これは株式市場を馬鹿にしている行為と思われたののです。

私が証券マンだったとして、例えば公募株式には仕切りがあったと思う。
幹事証券にはノルマもあったでしょう。
「吉本興業株は別に欲しくない」とのお客さんに対して、

「これは吉本興業と別会社です。コンテンツの会社。これからの時代はコンテンツが中心になりますよ。
非常に夢のある会社です。」

という風にお客様に販売したであろうと思います。

それが上場して1年も経たない内に上場廃止して吉本興業になるという。
「詐欺じゃないの?最初からわかってたんだろう?」
と言うお客さまに対して答える言葉が見つからなかったことでしょう。

経営判断といえばそれまでですが、
上場すると言うことは、おそらく何年も前から計画して準備を整えてきたはず。

それを一年もたたずに廃止を発表する。おそらく上場した直後に廃止の話が持ち上がっているはず。
もしかしたら上場直前に廃止を計画していたかもしれません。

その間に子会社の減資を通して香港市場に資金を環流している。その原資は日本の投資家からファンダンゴ上場を
通じて集めたお金であります。

それに関しては株主総会でも追及しましたが、なかなか納得いく回答が得られませんでした。

別な株主の方の「なぜせっかく集めた資金を内部留保しておかないんだ?」との質問に対して、
「魚屋が100億円持ってても仕方ないでしょう。だから株主にもどしました。」
との回答にはもう笑うしかありませんでした。

連結対象子会社を魚屋に例えるとは何事か。
市場で集めた資金を魚屋に移したの吉本興業ではないか。
(注:魚屋さんに他意はありません)

まったくもって納得いかない。
私としてはそのような資金流出の結果、上場を維持するのが難しくなったのでは?
と考えております。
(監査法人が上場後二回変わっております)

さてその後、うめだ花月他の不動産を売却した。
これに関しては 減損損失を埋めるためとのこと。
一応理由があるのですが、これにより不動産部門の売り上げが減少したことはたしかです。

さらにはその資金を使って吉本興業を経営陣のものにするというやり方には
「ようここまで無茶しよんな~」
とあっけにとられました。

私としてはまだまだ資金の流れの問題を追及していくつもりでありました。

さて
今回の資本の組み替えに関して出資するテレビ局にはなんのメリットもないのではないか?と
考えております。
1社2社なら芸人さんを独占的に供給してもらうとのメリットもあるのでしょうが、各社横並び(フジメディアだけは
出資比率が高めですが)の状態ではなんのメリットも生じない。

吉本興業にしても資金が流出するだけであります。
(TOBに関して銀行から借り受けるお金はまるまる吉本興業が返済する手法です。)

株主の圧力から離れて長期的な視野にたっての経営とは逆行しているように思われます。
株主の圧力といいましても、実際の株主総会では質問に対して
「もうやめろ~」
「しつこいんじゃ~」
「腹へったぞ~」
のヤジがまきおこり、かつ途中でいきなりマイクの電源を切られるという。いささか不可思議な総会であり。
株主からの圧力があるとも思えないのですが。

吉本興業は300億円もの資金をかけてまで上場廃止する理由はなんなのか?
その程度の株主の声もまずいほど何か問題があるのか?と勘ぐっております。

ところで私も本年の総会でマイクを切られましたが、
その後、吉本興業の代理人を名乗る東京の弁護士事務所から配達証明をいただきました。
いわく
「今年の質問の資料があるなら入手先を教えて欲しい」
「なにか意見があるなら述べて欲しい」
「これからは当弁護事務所が代理人なのでなにかあればこちらにどうぞ」
と丁重なお手紙を頂戴いたしました

マイクに電源を切り質問を遮っておいて後になって教えろとおっしゃる。
しかも弁護士が間に入るという。
そんなに声を荒げた覚えはないのですが??。

また総会では姓と受付で渡された無作為の出席番号を述べましたが、
なぜそれだけの情報で私だと特定できたのか?
総会出席者のなかで(おおきた)姓は一人だけだったんでしょうか?
私が偽名を述べた可能性は考えなかったんでしょうか?
 

「お前の顔も住所もわかってるからな~」
と脅されたように思うのは私の考えすぎでしょうか?

長々と述べてまいりましたが、このような経緯がありまして今回提訴にいたりました。
いろんな面で賛同して協力していただいている方々には感謝の言葉もありません。
今回の訴訟はTOBを否定するのではなく、経営者の都合による株主の強制排除は
法律の濫用ではないかを問う訴訟でもあります。

何故、強制されなければならないのか?
破綻するなら株主責任もあるでしょうし、業績による予想もつくでしょう。
今回のように寝耳に水の話でいきなり強制的に排除される。
しかも手切れ金はなんと
124円。
(1350円と一株あたり純資産との差額)

これがまかり通るなら、株価さえ下げればなんでも有りになってしまう。
株式に投資して値下がりしても将来またあがることを見越して、塩漬けにして頑張っている投資家もいるでしょう。
また値段に関係なく、その会社の製品のファンであるからとの理由で株式を保有されている方もいるでしょう。
株主優待が楽しみで保有されている方もいるでしょう。
それがある朝突然、
「お宅はもう株主でもなんでもないから」
と勝ち逃げされて納得できるものでしょうか?

ひとりでも多く
私どもの意見を理解し
共感していただけたらと希望しております。
 

 

10月26日
本日付の日本経済新聞朝刊の16面に「公正なMBO対価問う」との記事がありました。
レックス、サンスターの例をとり対価に不満な株主の勝訴も例をあげています。
それによれば「MBO直前の業績修整など不透明な手続きは許さないと、改めて厳しい姿勢を示した」との池永朝昭弁護士のコメントを載せている。
それに対し株主の主張を退けた例としてサイバードホールディングスの例を取り上げており、その理由として、
     同社社長が買収ファンドに対して買付価格の引き上げを求めるなど、「厳しい態度」を示した。
     同社と買収ファンドから独立した第三者評価機関に株式価値の算定を依頼した。
     社外取締役を含め双方から独立した者で構成される第3者委員会が、買収ファンドと協議・交渉したうえで、取締役会にMBOについての意見提出書を委託した。
株主と経営陣の利益相反を抑制する措置も取られていたとの評価された例をあげています。
つまり、経営者は株主の利益を図り出来る限り高く売る、株主に入る対価を多くしようとの努力が認められたとのことですね。
 では措置、この場合手続ですがさえ取られれば公正なのか?
この問いに関してはシャルレの例をあげてその問題点をあげています。
見かけは手続きが適切でも「経営者自ら交渉に加わったり、MBOに反対する実質的な権限が第三者委員会になかったりすれば、骨抜きになるリスクを排除できない」との清原建弁護士のコメントをあげております。
 
 さて今回の吉本興業の場合はどうなのか?
まずこれは
     MBOではなく第三者による友好的買収である。
     第三者評価機関の買収者と吉本興業が算定を依頼している。
     第三者委員会を設置している。
     決議する取締役会には新吉本興業?に残る取締役3名(今回の被告ですが)は出席していない。
と見事に手続きを踏んでおります。
さて①についてですが、今回の吉本興業においては第三者による買収の形を持たせた実質的MBOと考えております。
理由としてホームページの提訴の主旨、訴状にも書いておりますが
1)現経営陣が高額の報酬を約束されて残ること。
2)出資者が各放送局、ソフトバンク、京楽産業など吉本興業と共同で事業を
している会社であり、クオンタム・エンターテイメントが出資者を集めたのではなく、
吉本興業が声をかけて回ったと考える方が自然であること。
これらから見るに吉本興業側がこの話に積極的であると考える方が自然です。
②についての第三者機関による算定ですが
 
対象  算定機関  市場市価法 類似会社比準法  DCF法  DCF法(注)
会社側 アビーム  932~1292 974~1171       1218~1441   1331~1515
買付者 GCA    983~1291 924~1218      1289~1604
(注)はアビームが公開買付者計画に基づき試算したもの
のように買う方の買収機関の方が売る方より高く算定している。
公正な算定結果と言えばそれまでですが、普通はそれぞれ圧力もあり買付側の方が安く買いたたこう。売りつけ側は高く売りつけようとするのが普通ではないでしょうか?
ところが何故か深い議論の後もなく、1,350円とあっさり決まっています。
つまりまず買収ありきで値段はさほど問題ではない。とみるべきか。
これについては後述。
結局、利益相反の問題に対する措置が不十分であるといえないでしょうか?
     についてですが第三者機関の会合は6回となっています。
述べ何時間の会議かわかりませんが、それだけで十分論議されたのかは不明です。
(第三者委員会報告書が提出した報告書が
http://www.yoshimoto.co.jp/src/about/ir_pdf/ir_20090911_2.pdf
に掲載されていますが、ここにも今回のケースが利益相反の可能性を持つことを考慮して検討された旨を述べております。我々はファンダンゴから始まる資金の流れも不審に思っており、この上場廃止は決算を隠し、追求から逃れるため。いやもしかしたら監査法人あたりが意見を出し始めて上場維持が難しくなったのでは?と考えていますが、第三者委員会はその辺の事情まで知っておられるのかどうかは不明です。
 第三者委員会はどうしても短期間で
1)買収決定時点前後の限られた期間における経済的合理性、事情
2)その他外形的手続きの公平性。
を論拠に適正・不適性との判断をせざるを得ませんが、どういう場合に「不適正」って意見がでるんでしょうね?
(1)「株主からの圧力から逃れて長期的な視野に立った経営」
それを言ったらあるゆる上場企業に当てはまる気もしますが。
また外部のファンドからの方が圧力が大きいような気もします。
ましてや今回は266億円のキャッシュが無くなるわけですから長期的視野に立った場合、どちらが合理的なのか疑問が残ります。
(2)「上場維持にかかるコストが多大」
しかしそのコストまでも踏まえて株主は納得して保有しているわけで、オーナー企業ならいざ知らず、そのコストも飲んでいる株主が了承した役員がそれを理由に株主を放りだすことはなにか論理的におかしい気もします。
また手続きの正当を論拠に正当であると重ねるのは外形的基準さえ整えばなんでもありということにつながります。(まあ世の中そんなことは多いですが)
そう意味で「不適性」でなければ「適正」であるということで中間はありません。
「だめだとは言わないけど、非上場化を是非やるべきだとも思えない」
こんな意見はまず出ないでしょうね。
     についてですが、直接利害関係のない役員で決議されたとの事。
ところで、このスキームの推進役の役員が社内で厳然たる権力を握っていると思われます。
関係者からいただいたメールが正しいならば恐怖政治とも言える統治がなされている可能性もある。その中で反対を唱えられるものでしょうか?つまり誰も逆らえなくなっている可能性も感じます。
しかも取締役会決議を行う取締役3人、監査役2人は常勤が各1名だったと思いますが、このような取締役会で決まったから適正といえるのでしょうか?
 
以上の点から今回のTOBに関しては疑問だらけと考えます。
なぜそこまでして株主を放り出す必要があるのか?
「はい、そうですか」とはやはり言えないですね。
 
通常のMBOなら役員が株式をもつのですが、今回は役員は株式を引き受けません。
だからMBOではないと言われても、「要するにリスクをとりませんが、経営はやります。報酬はそれぞれ1億円(上限)ですよ」という役員にとっては非常においしい話となります。
買収にかかる融資の連帯保証人にそれぞれなりますが、
買収資金506億円のうち
放送局等出資が190億円。
メザニン出資が50億円のため
実質融資は266億円程度になります。
ところが会社の手持ち現金が124億円
保有有価証券が80億円
未収還付法人税が50億円。
これだけでほとんど返せます。みごとに計算があうので、これが1,350円の根拠か?とも思えますが。
さらにTOB後、第三者割り当て増資80億円を予定していますので運転資金も大丈夫。
連帯保証人になっても、うまくいけば役員になんのリスクもないように計画されているように考えられます。
出来すぎですね。

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